| 以下のページでは耳鼻咽喉科領域の病気についての解説を書いています。病気についての一般的な情報が大半ですが、一部では、当院での治療や考え方が書かれている部分もあります。随時更新、追加の予定です。 |
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一般的には、みみあか・みみご、などと呼ばれています。
耳垢には2種類あり、乾燥した耳垢と、粘性の耳垢があります(アメミミ、ジュルミミ)。この違いは遺伝的に決まっており、生まれついてのもので途中で変わることはありません。日本人は概ね7割が乾燥型、残りが粘性です。
耳垢がたまると、難聴や耳閉感の原因となります。極端な場合、たまった耳垢が固くなり、鋳型のように外耳道にはまりこんでいることがあり、こうなると除去することが非常に困難で、何度かに分けてとる事もあります。このような状態を耳垢栓塞と呼んでいます。
自分で或いは家族の人が耳掃除している人が多いと思いますが、耳垢はもともと自然に耳の外に移動してくる性質をもっており、あまり熱心に耳の奥を掃除するべきではありません。かえって耳垢を奥に突き固めて耳垢栓塞をつくってしまうことになりかねませんし、耳掃除をしているときに子供が体当たりをしてきて、その拍子に鼓膜を突き破ってしまった等の事故はよくあります。自分で耳掃除するときにはごく外側だけにとどめ、耳の奥は極力触らないことです。他の人の耳掃除をするときも、よくよく見える場所だけにしたほうが安全です。どうしても気になる人は、数ヶ月に一度でも耳鼻科を受診して耳掃除をしに来てもらえば一番良いかと思います。
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耳の痛み、耳だれ等で発症します。耳の痛みは中耳炎でも起こりますが、耳たぶをひっぱって痛みが強くなるときは外耳道炎のことが多いといわれています。
外耳道炎は、耳の穴の皮膚に細菌や真菌(かび)が感染を起した状態で、プールに入った後に起こることもありますが、圧倒的に多いのは、耳掃除をし過ぎてなるものです。耳の穴の奥の皮膚はごく薄いので、ちょっとした刺激で傷がついたり荒れたりします。一度なりますと、かゆいので耳を触る→傷がつく→かゆくなる→また触る→・・といった悪循環にはまりますので、特に固い竹の耳掻きでの耳掃除はしないほうが良いでしょう。
外耳道炎の治療は、主に局所への点耳薬、軟膏塗布などで行います。原因が細菌なのか、真菌なのかまたはその両方なのかで治療法が変わってきますので、耳だれの培養検査などをすることもあります。
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子供さんに多い病気で、一度はかかったことがある人がかなりいるのではないかと思います。成人でも頻度は低いですが、ひどい風邪の時にかかることがあります。
風邪を引いていたり、鼻水が多いときに急に耳の痛みを訴え、熱が出るというのが典型的な経過です。その後耳だれが出だすこともあります。
しかし最近では、風邪を引いた時点で、抗生剤などの内服を開始している場合もよくありますので、あまり痛みを訴えず、気が付かれないままに、中耳炎がぐずぐず長引いているというケースがかなりあります。特に小さいお子さんで、発熱が長引く、機嫌が悪い状態が続く、夜ぐずって寝ないなどの症状が続いている場合は、一度耳のチェックが必要です。
典型的な中耳炎と違って、このような中耳炎は鼓膜の所見もあまりはっきりせず、判りにくいことが多いので、顕微鏡下によく観察することが必要です。
治療は、鼓膜所見と、発熱や全身状態などを考え合わせ、必要な場合は抗生剤の内服や、鼓膜切開を行います。軽症の場合は、鎮痛剤などの対症療法だけでよいこともあります。
最近では急性中耳炎の起炎菌(原因となるばい菌)が耐性化して抗生物質が効きにくくなるケースが多くて問題となっていて、これを防ぐ為には抗生物質を乱用せず、適切な場合に適切な種類の薬を使わなければならないと考えられています。そのため、急性中耳炎の治療に関するガイドラインが考案されています。
当院でもガイドラインを参考にしながら、なるべく早く、長引かせないように、耐性菌を誘導しないように治療を行うことを目標としています。
症状がなくなっても、鼓膜所見が正常となったことを確認する必要があります。これを怠ると、知らない間に、鼓膜の奥に液体がたまる状態(滲出性中耳炎)に移行している可能性があり、なかなか治らなくなることがあります。ですから、通院を途中で止めることはせず必ず、もう治ったというところまで通院してください。
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主に幼時期の子供さんに起こる病気です。症状は耳閉感(耳が塞がった感じ)、難聴で通常発熱や痛みはありません。従って幼児では訴えがなく、いつの間にか滲出性中耳炎になっていて、健康診断で初めてわかったといったことが、ままあります。
鼓膜の奥にある鼓室という小部屋には、正常な状態では、鼓膜の外と同じ気圧の空気が満たされています。この鼓膜の内外で気圧の差が生じた場合(高いところへ登ったときなど)、鼻の奥にある耳管という管を通じて、鼓室の中に空気が出入りし、適正な空気の量が鼓室内に保持されます。
耳管の機能が何らかの原因で悪くなり、鼓室内に空気が出入りできなくなった場合には、鼓室の中の空気が足りなくなり、鼓膜が内側に陥凹してきます。そうすると、鼓膜の動きが悪くなり、音が伝わりにくくなります。さらにこの状態が続くと、鼓室の中に液体が貯まり難聴が進行します。
原因はひとつではなく、色々な要因が重なっているものと思われます。鼻や喉の持続的な炎症(アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎)、アデノイド肥大、急性中耳炎の不十分な治療などが関連していることが多いです。
治療は鼻や喉の局所治療、内服薬(鼻炎や副鼻腔炎に対して)、通気(耳管を通して空気を鼓室へ送り込む)、鼓膜切開、チュービングなどを状態に応じて行っていきます。
適切な治療が行われないと、鼓膜の陥凹が強くなり、鼓膜が変性(薄くなる)したり、鼓室の奥とくっついてしまうなどの状態となることがあり、こうなると成人になっても治らない、慢性中耳炎に移行してしまいます。また、言葉を覚える時期に滲出性中耳炎で難聴の状態を放置していると、言葉の習得に支障をきたすことがあります。
滲出性中耳炎は治りにくく、繰り返し易い病気で、何か月か或いは何年も続く場合もあります。しかし、ある程度の年令になれば(小学校中〜高学年)多くの人は治癒しますので、根気よく付き合うことが必要です。
成人の滲出性中耳炎はご高齢の方に多く、やはり何回も繰り返すことが多い病気です。ひとつ要注意のこととして、滲出性中耳炎が急に起こった場合、上咽頭に腫瘍が出来ていることがまれにあります。上咽頭とは鼻の奥のつきあたりの空間のことで、ここに耳管の入り口がありますので、腫瘍(癌や悪性リンパ腫など)ができて耳管が塞がると、滲出性中耳炎になるのです。成人で滲出性中耳炎になっている方には一度は上咽頭の内視鏡検査(鼻を通してごく細い軟らかいカメラで上咽頭を撮影します)が必要である理由です。
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“めまい”が起こった場合どの科を受診されるか迷う方が多いと思います。“めまい”という言葉には多くの現象が含まれていて、人によりその定義が異なっているため、“めまい”には色々な症状、病気が含まれています。
めまい、平衡障害を専門とする科としては、耳鼻咽喉科、神経内科、脳外科が挙げられると思います。特殊なケースでは、内科、整形外科、精神科などで診る病気がめまいの原因となっている場合もあります。
めまいを診断、治療するときにその入り口として耳鼻科を受診していただくと良いのは、めまいが大きく分けて、中枢性(頭の中に原因がある)と末梢性(頭の中でないところに原因がある)に分けられるからです。末梢性めまいの多くは内耳や前庭神経といった耳と関連した器官に原因がありますので、耳鼻科での検査、診察で診断がつけやすいのです。
内耳性めまいの典型的な病気としてはメニエル病、良性発作性頭位眩暈症(BPPV)があげられます。原因のはっきりとしないめまい一般に対して漠然と“メニエル症候群”という病名が使われている場合がままありますが、メニエル病はこれとは異なりかなり頻度の少ない(日本では10万人あたり20〜40人)病気です。典型例では、耳鳴や難聴、耳閉感とともに回転性めまい(天井がぐるぐる回るようなめまい)が繰り返し起こるもので、めまいとともに聴力低下も問題になりますので適切な治療で、進行をとどめるようにしないといけません。
BPPVは頭の向きを変えたときに強い回転性めまいが比較的短い時間(数秒から十数秒)起こる病気です。内耳の中にある耳石という小器官が本来の位置を離れて浮遊しているために起こると考えられています。診断がつけば、浮遊した耳石を本来の位置に戻す理学療法がありますのでこれを行いすぐに症状がなくなる場合もあります。
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非常に多くの方が悩まされている病気です。スギ花粉症に代表される季節性のものと、通年性(年間を通じて症状がある)のものとに大別されます。
くしゃみ、水様性鼻汁(みずばな)、鼻閉(鼻づまり)が主な症状で、人によりこれらの症状が一部または全部あり、またどの症状が主かも人により異なります。
したがって、アレルギー性鼻炎に対する治療法は一律なものではなく、通年性か季節性か、病型(どの症状が主か)、重症度、通院可能な頻度などによってそれぞれの方に合わせた治療法を考えていかなければいけません。
現在最も一般的でまず最初の治療法と考えられるのは内服薬です。いわゆる抗アレルギー剤を内服します。なかでも抗ヒスタミン作用が強いものが主になりますが、病型によっては、他の化学伝達物質の阻害剤もあわせて服用してもらいます。以前は抗ヒスタミン作用の強い薬は眠気も強いことが多かったのですが、最近の薬はその点はかなり改善されています。飲む回数も1日1回で良いものもありますので、忙しくて薬の服用を忘れがちな人には良いかもしれません。非常に重症な場合はごく短期間ステロイドホルモンの内服も併用する場合があります。
内服で効果が不十分な時には主にステロイドホルモン剤の点鼻薬を併用します。点鼻の場合は内服と違いステロイドホルモンの身体全体への影響はごくわずかですので、ある程度長期間でも定期的に使用してさしつかえはありません。これらの組み合わせでも鼻詰まりがどうしても取れない場合には、血管収縮薬の点鼻薬を使用する場合もあります。この点鼻薬は速効性があり鼻詰まりがかなり確実にとれるのですが、使いすぎるとかえって、粘膜の腫れが強くなって、鼻が詰まりやすくなるのでよく注意して必要最小限の使用にとどめないといけません。市販の鼻炎用点鼻薬の多くはこれと同じ種類の薬ですので同様の注意が必要です。
内服、点鼻で症状が取れない場合、主に鼻詰まりを軽くする目的で手術を検討します。腫れた粘膜の体積を減らして空気の通りを良くすることと、アレルギー反応の起こる場所を減らすという意味で、下甲介という粘膜の隆起に対する手術が行われます。下甲介粘膜を切除するか、熱、薬品などで変性させるかで、下甲介切除術・レーザー手術・化学薬品による粘膜焼灼術・高周波電気による焼灼術等色々な種類があります。これらの手術はそれぞれの長所・短所があり、このうちのどれが優れているとは一概にはいえません。
当院では、外来で、比較的安全に、短時間に行える方法として、高周波電気メスによる下甲介手術を行っています。
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一般に“蓄膿”といわれている病気です。副鼻腔というのは、鼻腔(鼻の奥に拡がっている空間)に通じている骨のほら穴のことをいいます。副鼻腔には上顎洞(ほっぺた)篩骨洞(目と目の間)前頭洞(眉毛の上あたり)蝶形骨洞(鼻の一番奥)があり、これらのほらなには、正常な人では空気が入っています。ところが、何らかの理由で副鼻腔と鼻腔の間の通り道が塞がり、ばい菌が繁殖し、ほら穴の中に膿が貯まった状態を慢性副鼻腔炎といいます。副鼻腔に膿が蓄えられた状態なので、蓄膿というわけです。症状としては膿性の鼻汁(あおばな)、鼻詰まり、鼻声などがあり、重症になると鼻の中の粘膜がポリープ状にふくれてきて、鼻の中を塞いできます。これを鼻茸(はなたけ)といいます。
以前は大変多い病気だったようですが、今は上記のような古典的な慢性副鼻腔炎は、特に若い人にはあまり多くはありません。栄養状態や衛生状態の改善、食生活を含めたライフスタイルの変化などにより減少してきていると考えられています。
今は慢性副鼻腔炎とは言っても、アレルギ―性鼻副鼻腔炎といえる状態が多く見られるようになっています。上記の古典的副鼻腔炎に比べて、細菌感染の度合いが少なく、副鼻腔の中も膿汁が貯まっているというよりは、腫れた粘膜でいっぱいになっていることが多いようです。以前に比べると、慢性副鼻腔炎は全般的に見て軽症化しているといえると思います。
治療法としては、まず、副鼻腔炎の程度を知る為にレントゲンを撮ります。当院で撮影できる単純撮影でもおおまかな病変の評価は出来ますが、より詳しく確実に検査するためにはCTという撮影方法が優れていますので、必要な方には近くの病院を紹介してCTを撮ってもらっています。そして、病型、重症度に応じて、一般的には薬物療法→穿針洗浄等の処置→手術と段階を追って、治療を行っていきます。
慢性副鼻腔炎はなかなか完治しにくい病気ではありますが、最近よく行われている、マクロライド少量長期投与などの薬物療法に良く反応して、数ヶ月のうちに明らかに病変や症状が良くなっていく方もおられます。また、万が一手術をするとしても、以前のように歯茎を切って、大きく頬部の皮膚を剥がすような手術が必要なことは稀で、内視鏡を用いて、鼻の穴から行う手術が主流ですので、随分と術後も楽になっています。
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誰でも今まで一度くらい鼻血を出したことはあると思います。特に子供さんはよく鼻血を出すもので、毎日のように出る人もあるかと思います。
鼻の左右を分ける板(鼻中隔)の丁度指が届くあたりには、特別に毛細血管が沢山集まっている場所がありここを少し刺激するとすぐに出血します。子供さんの出血はその多くは、この場所からのもので、まず特別な治療を要するようなものではありません。ただしアレルギー性鼻炎がある場合には、そのために鼻をかむ回数が増えたり、かゆみのために触ってしまったりで出血しやすくなりますので、診察して鼻炎があるようでしたら、その治療をすることもあります。また出血している血管が明らかな場合には、その血管を薬品や電気で焼くことにより、出血が防げる場合があります。
大人の場合もこの場所からの出血であれば、相当に勢いのよい出血であっても電気で焼くなどして比較的止血は容易です。しかし大人ではもう少し奥から出血していることもあり、鼻の中というのは大変複雑に粘膜のひだや隆起がありますので、出血点がどうしても確認できないこともあります。こうした場合には、いたしかたなく、出血点の近くにガーゼをきつく詰め込んで圧迫止血することとなります。
このように多くの場合、鼻出血は単に鼻の粘膜の血管が何かの原因で破れて血が出ているだけです、口や鼻から多量に出血するとあわててしまわれる方が多いですが、特に心配することはありません。よく鼻出血が起きて、頭の中から出ているのではないかと心配する方がおられますが、通常そのようなことはありません。
ただ、ごく稀にですが、鼻の中や、副鼻腔の中に腫瘍ができていて、そこから出血している場合や、血液や血管の病気で止血しにくい場合があります。毎日決まって、特に誘因もなく鼻血が続く場合など、一度こういった病気ができていないかどうかのチェックは必要であると思います。
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感冒や風邪といわれる状態には何種類もの病気が含まれていますが、多くのものはウィルスによる上気道(鼻、咽頭、喉頭)の炎症です。ウィルスの種類やそのときの体調によりいろいろな症状が出ます。典型的な経過としては、
@ 鼻やのどの粘膜からウィルスが侵入して、痛くなる。
A 水のような鼻水や、くしゃみ、鼻詰まりが起きる(カタル症状)
B ウィルスが増殖して、全身的な症状が出る(発熱、倦怠感、胃腸症状など)
C 鼻水が粘くなり、痰が多くなる。
といった経過が数日続き治っていくというものでしょう。
残念ながら今のところ、風邪に対する特効薬はなく、上記の経過を短縮する確かな治療法はありません。いわゆる風邪薬(総合感冒薬)は、上記の症状を抑えるための対症的な薬であり、風邪を治す薬ではありません。総合感冒薬にはどの時期に飲んでも良いように、いろいろな成分が含まれています。従って場合によっては不要な成分を飲んでしまうこともありますので、できればその時期に一番強い症状を抑えるような薬を選んで飲んだほうが合理的かと思います。
当院では耳鼻科的診察で鼻やのどの状態をよく見てその時に応じた薬を処方しています。また、局所的治療法として、鼻、喉への薬液吸入、温熱療法(蒸気吸入)を行なっています。
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咽頭は、喉の一部です。扁桃は口をあけたときに舌の奥両側に見えている部分で、これも咽頭の一部です。従って、急性咽頭炎のなかで、扁桃に主に病変のあるものを急性扁桃炎といっています。感染によって喉に炎症が起こっている状態をいいますが、原因になっている病原体は主にウィルスと細菌で、この違いにより治療法も異なってきます。細菌であれば抗生物質を服用する必要がありますが、ウィルス性の場合は抗生物質は無効です。ウィルス性か細菌性かの見分け方には決定的なものはなく、症状や、粘膜の所見、血液検査などで判断しますが、確実とはいえません。このため、どちらかわからない例に“念のために”あるいは“二次的細菌感染を防ぐために”抗生物質を投与する場合も多かったのですが、不必要な抗生剤投与が薬剤耐性菌(抗生物質が効きにくいばい菌)を作り出すということが大きな問題となっています。
また、人間の体内にはいつでも多くの細菌が活動しており(常在菌といわれています)、腸内細菌叢などといわれる細菌の集落をつくり、体調の維持に大切な役割を果たしています。抗生物質の投与は当然こういった細菌叢のバランスを崩しますので、むしろ免疫力や感染に対する抵抗力を弱める可能性があると考えられます。
以上のような理由から、風邪を含めて急性咽頭炎では、確実に細菌性と考えられるケースにだけ抗生物質を投与する方針をとっています。咽頭炎、扁桃炎を起こす細菌の中で最も頻度が多く重要なものは溶血性連鎖球菌(溶連菌)ですので、当院では溶連菌の感染を検出する迅速診断キットを用いて(5分〜10分で結果が出ます。)すぐに診断して薬を処方できるようにしています。
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喉頭というのは、のどぼとけのことです。喉頭は気管という空気を通す管の一番上にあり、食べ物が気管に入らないように飲み込むときに気管に蓋をする役割があります。また、喉頭の中には声帯という特殊な粘膜の隆起があって、これが振動することによって声が出ています。
急性喉頭炎とは喉頭になんらかの原因で炎症が起きている場合で、症状としては声がれ、咳、呼吸困難などがあります。風邪をひいて声が出なくなる、大声を上げた後に声が嗄れるなどの時には何れも喉頭炎が起こっていると考えられます。
通常、喉頭炎は吸入などの局所治療と、声をなるべく出さないようにして喉頭の安静を心がけることで治りますが、なかには非常に危険な、急を要する特殊な喉頭炎があります。
喉頭の一部で気管に蓋をする部分を喉頭蓋といいますが、細菌の感染で特にこの部分が急に腫れるタイプを喉頭蓋炎といい、これは、治療の時期を逸すると腫れた喉頭蓋が気管を塞いでしまい、窒息の危険も出てきます。喉の痛みとともに、声が出にくい、声質が変化するなどの症状が比較的早くからありますが、口を開けて直に見える範囲では異常所見はないことがあり、他科では見逃される恐れがあります。喉頭蓋を観察するためには耳鼻科的診察が必須ですのでこのような症状がある時には早急に耳鼻科を受診していただく必要があります。
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声嗄れをきたす、代表的な病気です。声の出し過ぎ、使い過ぎ、喫煙などが原因で声帯の粘膜が変性し、ポリープ状に突出したものをいいます。これと近い病気にポリープ様声帯、声帯結節等があり、何れも同じような原因で起こります。幼稚園の先生など声を張り上げることが多い職業のかたにできることが多い病気です。
癌などの悪性の病気に変化することはないのですが、一度できると完全に元通りに戻ることはむつかしい病気ですので早期に診断して、原因を除去する必要があります。
治療法としては、吸入などの局所療法と、沈黙して声帯をなるべく動かさないようにして安静にしてもらうことが中心となります。しばらく、こういった治療をしても症状が改善しない場合や、声嗄れが非常に高度の場合は、手術でポリープを摘出することを考える必要があります。
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扁桃腺に持続的な細菌感染があり、体調が悪くなると、熱が出たり、喉が痛くなる、腫れるなどの急性増悪が起こる場合があり、慢性扁桃炎または習慣性扁桃炎と言っています。
子供さんに多い病気で、大きくなると扁桃炎を起こさなくなることが多いのですが、成人になっても続く方や、成人になってから初めて発症する人もおられます。
発熱や痛みがある急性期には抗生物質の内服や注射などが必要です。症状のないときにはうがいをしたり、体調を整えるなどで再発を防ぎますが、あまりしばしば発熱を繰り返す場合には手術で扁桃を取ることをお勧めすることもあります。
手術が必要かどうかの明確な判定基準はありませんが、だいたいの目安としては1年に5〜6回以上発熱を繰り返す場合は手術も検討したほうが良いと考えています。
慢性扁桃炎の中でも特殊なものに病巣感染と言われる状態があります。皮膚疾患、腎臓疾患、関節炎、自己免疫疾患などの中の一部には扁桃腺内の持続的細菌感染が関与していると考えられている疾患があり、扁桃自体にはあまり明らかな症状がない場合でも、扁桃摘出を行うと、もとの病気の症状が改善する場合があります。代表的な疾患としてはIgA腎症、掌蹠膿疱症、胸肋鎖骨過形成症などがあります。病巣感染の診断には、扁桃の所見ともとの疾患の症状との関連を見る必要がありますので、こういった疾患を治療中のかたは、一度耳鼻科的診察をうけることをお勧めします。
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耳鼻科でみる病気でも癌や悪性の病気があるのか?と思われる方も多いと思います。
あまり頻度は多くないので、なじみがある病気ではないと思いますが、耳鼻科医が診断・治療する癌などの悪性疾患もたくさんあります。もちろん当院のような診療所で行うのは診断までで、詳しい検査や治療は施設の整った総合病院でということになります。
代表的な病気に関する一般的な情報を紹介します。この領域の癌では、男性、タバコ がキーワードになるものが多いのが特徴です。
◎喉頭癌
耳鼻科(頭頚部)領域では、一番多い癌です。多くは声帯にできるため声嗄れが初発症状になることが多く、比較的早期発見しやすい癌ですので予後も良好です。しかし、喉頭の中でも声帯ではない部分にできるものは、症状が出にくく、喉の痛みや異物感が続くだけで発見が遅れることがあります。
圧倒的に男性の喫煙者に多い病気ですので、中年以上の男性の喫煙者で声が嗄れている場合には是非とも、喉頭の検査が必要です。喉頭を詳しく見るためには、鼻からカメラを入れて、咽頭、喉頭を撮影します。胃カメラの小型版ですが非常に細いので、ほとんど苦痛なく短時間で検査できます。
◎舌癌
舌にできる癌で、喉頭癌とは異なり、比較的若い人や、女性にもできることがあります。とはいえやはり男性に多く(女性の約2倍)飲酒、喫煙、口腔の不衛生などが発癌に関与していると思われています。小さいうちに治療すればほとんど後遺症なく治りますが、大きくなると病気は治せても機能的障害(舌を切除するため、食事や発音が難しくなります。)が残りますので、早期発見早期治療が重要です。
症状は小さいうちはあまりないですが、ある程度大きくなると痛みが出てきます。口の中の同じ場所にいつまでも続く痛みがあるような場合には、一度よく調べたほうが良いと思います。
◎咽頭癌
咽頭は場所により、上中下にわけられており、それぞれに異なる性質をもつ癌ができます。
上咽頭癌:
上咽頭というのは鼻の奥のつきあたりです。上咽頭癌は症状がでることが遅く進行した状態で発見されることがよくあります。やはり男性に多いですが、ほかの頭頚部癌に比べ、やや若い人にもできることがあります。EBウィルスが発癌に関係していると考えられていて、タバコや飲酒との関係はあまりないようです。腫れる場所により症状はさまざまですが耳管(鼻の奥と耳とをつなぐ管)を圧迫すると滲出性中耳炎となり、片側の耳の難聴や耳閉感が起こります。また、上咽頭は頭とも近い場所なので、色々な神経を圧迫して、痛みや麻痺が起きる事もあります。腫瘍が大きくなると鼻が詰まってきます。これらの原発巣の症状が出る前に、首のリンパ節が腫れて、それから上咽頭の原発巣が発見されることも比較的良くあります。上咽頭癌の発見には鼻から細いカメラを入れての撮影が必要です。
中咽頭癌:
中咽頭というのは、口を開いて覗いたときに正面、左右に見える場所です。扁桃せん、舌の付け根、軟口蓋などにできます。中高年の男性に多く、タバコ、飲酒との関連大です。喉の痛みが最初の症状になることが多いので上記の条件にあてはまり、喉の同じ場所に痛みが続くといった方は一度検査をうけることをおすすめします。この癌はリンパ節転移を起こしやすく、治療に際して放射線治療にせよ手術にせよ大きな機能障害を残しやすい場所ですので、少しでも小さいうちに発見して治療を開始することが必要です。
下咽頭癌:
下咽頭というのは喉のずっと奥で、食道につながる部分をいいます。口を開いて見える部分より下方ですので、ここを観察するためには、鏡や内視鏡(カメラ)を用います。この癌も中高年の男性に多く、タバコ、飲酒との関連大です。症状は痛みや、食事のときの異物感、詰まりなどですが、かなり大きくなるまで無症状のこともあります。また、やや観察しにくい場所なので一度の診察でははっきりと診断できず、経過観察をしているとそのうちにはっきりと見えてくるといったこともあります。下咽頭は、喉頭とつながっているので、下咽頭癌の治療のさいには、喉頭が残せるかどうかが大きな問題になります。喉頭も一緒に摘出した場合には声が出せなくなり大きな機能障害が残りますが、小さいうちであれば、喉頭を残しての治療が可能となっています。
◎上顎癌
ほっぺたの皮膚の下の上顎骨という骨の中は空洞になっており、上顎洞といわれています。ここに膿が貯まると慢性副鼻腔炎(蓄膿)といいますが、この中に癌ができることがあります。骨の中ですから最初は症状が出にくく、骨を壊して拡がってから色々な症状が出現します。鼻詰まり、鼻出血、涙が流れる、複視(目の動きが悪くなりものが二重に見える)などがあり、これらの症状が出現した時には既にかなり進行した時期になっていることが多いのです。頻度は多くない癌ですが、発見がむつかしいので、片側だけの蓄膿や、原因不明で持続する鼻出血のときなどは一応上顎癌も疑って検査する必要があります。検査はCTで上顎洞の内部の様子や骨の破壊がないかどうかを調べます。
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顔面神経の病気の一部も耳鼻咽喉科で診断・治療を行います。耳・鼻・のどと顔面神経はあまり関係ないようにみえると思いますが、なぜ耳鼻咽喉科でみるかというと顔面神経が耳、耳下腺の中を通っているためです。手術などを通して耳鼻咽喉科医にとって顔面神経は、ごくなじみの深いものなのです。
顔面神経は主に顔を動かす運動神経で、脳から出て、聴神経とともに内耳道を通って中耳の中を通ります。そして骨から出て耳下腺の中を通り、顔面の額、目、鼻、唇などに分布し各々を動かします。
顔面神経麻痺は色々な原因で起こります。麻痺の起こった場所により大きく、頭の中(中枢性)と頭の外(末梢性)に分けられますが、中枢性麻痺が単独で起こる場合は比較的少なく、他の神経の麻痺を伴っていることが多いので脳外科などにすぐに受診されることが多いかと思います。
末梢性の顔面神経麻痺が起きると、目がつむりにくい、口の端から水がこぼれる、顔の表情が左右非対称になる等の症状が出ます。軽度の場合にはしばらくは自分ではわからず、人にいわれて始めて異常に気付く方もおられます。
顔面神経麻痺のみで他の症状はないベル麻痺という病気と、痛みやめまい、聴力低下を伴う、ハント症候群という病気があり、ハント症候群の方が麻痺が重く、治りにくい傾向があります。何れもある種のウィルスが原因になっていると考えられていて、早期の治療が神経の変性を抑えて治癒率を高め、回復期間を早めますので、なるべく発症後早く診断し、治療を開始する必要があります。
上記の顔面神経麻痺を疑わせる症状がある時は早めの耳鼻科受診をおすすめします。
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