チュービング
鼓膜の奥の中耳という空間に水が溜まって、長期間抜けない、或いは何度切開して抜いてもすぐに溜まってくる場合などに、鼓膜に開けた穴を維持して中耳への換気ができるように小さいチューブを留置することがあります。
鼓膜の表面を麻酔して切開を行いそこに専用のチューブを入れます。チューブには各種の材料、形状がありますがすぐに抜けないように鼓膜の奥に広がる”つば”がついたものが大半です。当院では主にシリコン製・糸巻き型のものを使用しています。

(写真)高度の滲出性中耳炎です。鼓膜の奥に黄色透明な液体がいっぱいに溜まり、空気は残っていません。

(写真)切開して溜まった液体を吸引除去したところです。鼓膜の奥の色が切開前と全然違っていることが判ると思います。下にわずかに黄色い水が残っています。

(写真)切開した穴にチューブを挿入、留置したところです。下にわずかに黄色い水が残っていますが、チューブから空気が入ると残った水は速やかに耳管を通り喉に抜けて消失します。
チュービングの利点
・チューブが入っている間は中耳に液が溜まることはありませんから良い聴力を保てます。
・(子供さんの場合)中耳の中に新鮮な空気が充分入りますので、中耳とそれにつながる構造の正常な発育が期待できます。
注意点
・長くチューブを入れていると鼓膜の穴が固まってしまい、チューブが抜けても穴が残る場合があります。
・チューブを入れている間は耳に水が入ってはいけませんので水泳をする時は耳栓をするなどの対策が必要です。
・チューブに感染を起こして耳だれが止まらなくなり抜かないといけなくなる場合があります。
・チューブの穴が詰まって、抜かないといけなくなる場合があります。
・チューブが自然に押し出されて抜けてしまう場合があります。