慢性副鼻腔炎

(写真)副鼻腔炎による鼻汁、非常に濃い膿性の鼻汁が鼻の奥からのどの方に流れています(後鼻漏)。喉の不快感や、咳の原因になります。
一般に“蓄膿”といわれている病気です。副鼻腔というのは、鼻腔(鼻の奥に拡がっている空間)に通じている骨のほら穴のことをいいます。副鼻腔には上顎洞(ほっぺた)篩骨洞(目と目の間)前頭洞(眉毛の上あたり)蝶形骨洞(鼻の一番奥)があり、これらのほらなには、正常な人では空気が入っています。ところが、何らかの理由で副鼻腔と鼻腔の間の通り道が塞がり、ばい菌が繁殖し、ほら穴の中に膿が貯まった状態を慢性副鼻腔炎といいます。副鼻腔に膿が蓄えられた状態なので、蓄膿というわけです。症状としては膿性の鼻汁(あおばな)、鼻詰まり、鼻声などがあり、重症になると鼻の中の粘膜がポリープ状にふくれてきて、鼻の中を塞いできます。これを鼻茸(はなたけ)といいます。
以前は大変多い病気だったようですが、今は上記のような古典的な慢性副鼻腔炎は、特に若い人にはあまり多くはありません。栄養状態や衛生状態の改善、食生活を含めたライフスタイルの変化などにより減少してきていると考えられています。
今は慢性副鼻腔炎とは言っても、アレルギ―性鼻副鼻腔炎といえる状態が多く見られるようになっています。上記の古典的副鼻腔炎に比べて、細菌感染の度合いが少なく、副鼻腔の中も膿汁が貯まっているというよりは、腫れた粘膜でいっぱいになっていることが多いようです。以前に比べると、慢性副鼻腔炎は全般的に見て軽症化しているといえると思います。
治療法としては、まず、副鼻腔炎の程度を知る為にレントゲンを撮ります。当院で撮影できる単純撮影でもおおまかな病変の評価は出来ますが、より詳しく確実に検査するためにはCTという撮影方法が優れていますので、必要な方には近くの病院を紹介してCTを撮ってもらっています。そして、病型、重症度に応じて、一般的には薬物療法→穿針洗浄等の処置→手術と段階を追って、治療を行っていきます。

(写真)頭部・顔面のCT写真です。左側の目の下の空間(上顎洞)に病変があることがわかります。右側は空気がよく入っています。
慢性副鼻腔炎はなかなか完治しにくい病気ではありますが、最近よく行われている、マクロライド少量長期投与などの薬物療法に良く反応して、数ヶ月のうちに明らかに病変や症状が良くなっていく方もおられます。また、万が一手術をするとしても、以前のように歯茎を切って、大きく頬部の皮膚を剥がすような手術が必要なことは稀で、内視鏡を用いて、鼻の穴から行う手術が主流ですので、随分と術後も楽になっています。