耳掻きを愛好する人は多いのですが、耳掻きに起因する耳のトラブルで耳鼻科を受診する方もまた、とても多いのです。耳掻きを習慣的にしている人はその方法や触る範囲がエスカレートしないように気をつけて危険を回避してほしいものです。

耳垢は外耳道(耳の穴)皮膚の新陳代謝の流れに乗って自然に耳の穴の外側へと運ばれてきます。ですから耳の穴の奥は基本的に触る必要はありません。折角外に出てこようとしている耳垢をわざわざ耳掻きをして奥に押し込んでいる状態をよく目にします。

耳の穴は体の表面の一部ですから皮膚に覆われています。外側3分の1は皮膚の下に柔らかい組織がありますがそれより奥では骨の上にすぐに皮膚が貼っている状態です。この部分で竹の耳掻きだとか綿棒だとかで強く皮膚をこすると下にクッションがないですから簡単に傷がついて爛れた状態となります。

耳掻き中のアクシデントで鼓膜に傷がつくことも時には起こります。この例では鼓膜を突いたために血腫(内出血)が起こっています。

これは子供の耳掻きをしていて、誤って鼓膜を突いて大きな穴が開いてしまった例です。
耳掻きは習慣的なものであり、親が子供の耳掻きを熱心にすると子供も良く自分で耳を触る癖がつくことがあります。
基本的には必要ではないということ、耳のトラブルの原因になることを知って、過剰な耳掻き・耳掃除はしないようにしていただきたいと思います。

やはり習慣的に耳掃除をする人で、激しく触ったために外耳道に血腫(血まめ)鼓膜の表面に水泡(水ぶくれ)ができています。こうなると鼓膜の動きも悪くなるため、難聴、耳閉感も強くなってきます。